かしの木コラム  Vol.25      平成20年10月7日

『 とうもろこし 』       スマイル農園  豊泉 裕 (年中園児の父)

畑で作業をしていると、「おじさーん!何しているの?」と、幼い子に声をかけられることがあります。
忙しいとは思いながらも、声をかけてもらうとうれしい。「おじさーん」と呼ばれることにだんだん慣れてきました。わたしは、野菜を作っているエコファーマーです。
この秋、ボランティアで、幸小の花壇に野菜をつくることになりました。先日、花壇でブロッコリーの苗を植えていると、「とよいずみさーん!」と女の子に声をかけられました。
振り返ると、「とうもろこし、おいしかったよ!」。いつ食べたのかなとしばらく考えて、たずねてみると、かしの木の園児でした。子どもにおいしいと言われることは、すごくうれしい。
今年の夏、かしの木の年長さんが、とうもろこしの収穫に来ました。みんな楽しそうにとうもろこしを収穫していました。園長先生のリクエストで、わたしは当日の給食の時間にとうもろこしを人数分ふかして、年長さんの各クラスに届けました。
今年のかしの木の収穫体験は、園児が自分で種をまき、途中の育ち具合を観察し、収穫し、食べるというスケジュールでした。
とうもろこしに触れて初めて、興味をもったり、何かを感じたから、わざわざ「とよいずみさーん!おいしかったよ。」と、わたしに声をかけてくれたのでしょう。また、食べれなかった園児が「食べた」と報告があり、とてもうれしかった。
今年のある夏の日のことです。今年はとうもろこしを多く作り、毎日の3時のおやつはとうもろこしで、採りたては、本当にうまい。
うちの子が、とうもろこしを食べていると、「このとうもろこしは、うちの?味がちがう。」と言いながら食べていました。わたしは、「えっ!」と思ったが、よく考えてみると昨日収穫したものだった。とうもろこしは、収穫して3時間を過ぎると、味、栄養が急激に落ちてしまう。いつの間にか、子どもは自分の舌で、味を感じて味を覚えていることに、わたしはビックリさせられました。
わたしは、地産地消をモットーに近隣のスーパーや、JAの直売所、市内の学校給食などに、顔写真や名前を明記して、「顔が見える野菜」を売ってきました。
しかし最近は、子どもの野菜離れや、外食・惣菜の増加、冷凍食品の活用で、料理をしない家庭が増えてきている。しかも、キッチンに包丁がない家庭もあるらしく、以前のように野菜が売れなくなってきました。また、中国の冷凍食品事件の影響で地場野菜が売れるのは、一瞬だけでした。
みなさんは、子育てが忙しく、仕事も忙しい。みなさんは、子どもに野菜が入った料理を作っていますか?「野菜食べなよ!」と、食べさせていませんか? えらそうなことを言っているけど、わたしの子ども達は、農家の子どもなのに、野菜嫌いでなかなか食べてくれません。そこで今年から、体験農園・収穫農園へと、経営のスタイルを変えました。土を歩く感じ、土を触ったやわらかい感じ、種をまき芽がでた喜びなど、何かを感じてほしい。収穫の感激を体験することで、季節を感じ、旬の野菜を食べるきっかけになればと思っています。また、収穫したあと、畑で料理して食べられたらいいなと、準備をすすめています。
最後に、かしの木の園児だけではなく、お母さん、先生、ぜひ畑で声をかけてください!               
   豊泉 裕さん   スマイル農園 エコファーマー
            日頃、幼稚園の体験農園でお世話になっています。

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